若くして合格!技術士受験指導

上下水道部門 oi さん

部門: 上下水道部門
専門分野: 下水道
筆記回数: 1回
口頭回数: 1回

(事務局)まず、技術士試験に挑戦しようとした動機・きっかけを教えてください。

(oi)上司のすすめ。水コン(上下水道コンサルタント)業界では、技術士でないと一人前の技術者として認められない風潮が早くからありました。したがってやがては自分も技術士資格をとって先輩方のような技術者になるのだ、という目的意識を20歳代前半からもっていました。そろそろ君も技術士に挑戦してはどうか、早すぎると言うことはない。このようにすすめられました。このとき私は27歳。しかし実際に受験したのは33歳のときでした。

(事務局)技術士試験に関連性があり、役立ったと思う資格を参考に教えてください。

(oi)特になし。一級土木施工管理技師、下水道技術検定(3種類ある、そのすべて)などいろいろ。これらを毎年ひとつずつ取得しました。しかし、どれをとっても技術士との関連はあまり無いと思います。これらに比べて技術士試験が異質すぎるという意味で。内容はともあれ、合格ぐせをつけるという意味ぐらいしかありません。

(事務局)技術士試験に挑戦することを決意してから、最初に何から取り掛かりましたか?

(oi)特に何も。しいて言えば当時普及がすすみつつあったワープロから距離をおき、手書きで文章をしたためることを心がけたくらいでしょうか。

(事務局)受験勉強は一人で実施しましたか?それとも仲間をみつけて協力し合いましたか?

(oi)完全にひとり。

(事務局)勉強時間・場所はどのように確保しましたか?同僚・家族は協力的でしたか?

(oi)週に2回、1回当り30分から90分。本番での回答時間以上を費やすことをしませんでした。選んだ問題の回答時間しかやりませんでした。それも毎日はしなかった。週に2日以内としました。再読と自己添削は、昼休みに。したがって、時間捻出の苦労はなし。同僚や家族に負担もなかった。本番間近かになって、本番とまったく同一の時間割で冷房を切って一日つぶしたことがありました。このときは家族に協力してもらいました。居留守を使う共犯者になってもらった。当時私は独身だったので家族は両親のみ。

(事務局)書籍・サイト・セミナーなど、勉強に利用した情報源を教えてください。

(oi)通信制の添削講座を受講。その講師の独断と偏見だけが情報源でした。おすすめできる書籍なし。どれでも良いと思っています。問題はそれをどう読むかにかかっています。試験の様子を知る程度でよいと私は考えます。過去問題集は、過去に出題されたので今後出題される見込みがおよそない問題をあつめたものと考えています。つまり出ない問題集。書店での立ち読みで十分。購入に及ばず。 当時ネットは普及していなかった。

(事務局)筆記回答や論文の添削指導(有料無料問わず)を受けましたか?また、その効果はどのようなものでしたか?

(oi)受講しました。効果絶大。添削の中身より技術士試験の特性と心構えを諄々と諭されました。これが効き、的確な対応がとれた。暗記という手法の無意味さを理解しました。一方、自分の持つ技術や知見を文章表現する力を引き出すことに集中しました。記述内容に関するアドバイスなし、書きっぷりに関する助言が中心でした。

(事務局)技術士試験は受験申し込みから口頭試験まで長い期間を要しますが、勉強を継続するために努力したことはありますか?

(oi)特になし。くだんの期間中、勉強を継続する必要さえ自覚しなかった。長期間にわたり苦しい勉強を続けることなどできっこないし不要。これが基本認識でした。

(事務局)筆記試験の直前はどのように過ごしましたか?

(oi)読書。下水道部門の中心的(バイブル的)な図書を最初からゆっくり、いろいろな思いを馳せながら読む。

(事務局)筆記試験日当日に特別に実施したことがあれば教えてください。

(oi)暑さ対策。タオル2枚、着替え、ウェットティッシュ、扇子を用意。自分の作った原稿や参考書のたぐいは一切持たない。家においてきた。〜本番では何も見ずに答案を書かねばなりません。頭の中身だけが原稿になる。紙に書いた原稿類が手許にあるとこれに頼る気持ちが湧いて実力発揮の妨げになると考えた。

(事務局)筆記試験終了後、どのような気持ちでしたか?また、どのように過ごしましたか?

(oi)言いようのない達成感。指が痺れて痛かった。着ていたシャツが汗まみれなので、会場の隅で着替えた。帰りの新幹線では缶ビールで乾杯。問題を忘れないうちに書き出した。答案を再現した。(会社への報告、口頭試験対策に必要かも知れないと思った)

(事務局)技術士になって何か変わったことはありましたか?

(oi)自分の得意分野を明確に表明できるようになった。得意でない分野も明言できる利点は大きいと思いました。他社の指導的な技術者と話ができるようになった。開業以後は、大学から非常勤講師の委嘱を受けた。出版社との付き合いがはじまった。(原稿執筆の依頼など)

(事務局)今後、技術士としてどのようになりたいですか?

(oi)技術士だけで完全自立できるようになりたい。自分の力不足、努力不足が最初にあります。また、今の世の中まだそこまで条件が熟していないと感じます。制度面、クライアントの認識、市場のマインドなどあらゆる面で技術士の独立開業の条件が出来ていない。

(事務局)これから技術士になる方へメッセージをどうぞ

(oi)自分の得意分野に関して問題意識をもつこと。建設的な提案提言(つまり訴えたいこと)をもつことです。イレギュラーな課題への積極的な取り組みなどがあればなお結構です。自分で問題を作るトレーニングは有効で、二度ほど的中したことがあった。本番で非常に気持ちが良かった記憶があります。これが二次試験受験の前提になります。きめられた基準等にしたがって間違いなくできるだけでは不十分です。これを踏まえて、なるべく出来の良い論文を数多く読む習慣が基礎だと思います。暗記をせず内容把握を心がけて読むこと。そして良い論文とはどういうものかを自分なりに作りあげてください。その上で書く。手で書く。時間内に書く。何も見ないで書く。わかりやすく書く。読みやすい字で書く。このように水準を上げていく。あらたに何かを暗記する必要は基本的にありません。それがいくつも残っていると思っているうちは受験すること自体が時期早尚だと考えます。

私が受験したのは、平成2年度(1990年)、旧制度下でした。現在の制度からみれば古い認識が混じっているとおもいます。その点を割り引いてお読みください。たとえば試験会場に冷房なし、など。なお、標記の部門以外に、建設部門、衛生工学部門、総合技術監理部門を都合8回受験しています。合格したのは上下水道と総合技術監理です。他は、筆記途中棄権、筆記不合格、口頭不合格、すなわち受験者が遭遇しうる事態を、ひととおり身を持って経験しています。不合格体験記が有効だと私は思っています。昭和59年度(1984年)技術士一次試験第一回を受験しています。(合格・衛生工学部門)


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