技術士への想い

当サイトは技術士の情報量の少ない部門に関する情報を提供することを主目的とし、以下の3点の方針に沿って、構成されています。

技術士試験に関する情報量を増やしたい

私が技術士資格を知ったのは資格取得本のような雑誌を読んでいたときだったかと思います。当時、私はシステムエンジニアとしてはまだ実績が少なく、資格などの取得によって自分の技術レベルを確かめているころでしたので、”エンジニアとしての最高峰資格”という紹介に大変興味を持ちました。また、”技術士”という名称がシンプルで力強い印象をもち、技術で生計を立てることができるエンジニアというイメージが強烈に残りました。そこで、技術士にかかわる情報を調べ始めました。

資格取得本には、19部門(当時)の専門があり、約15%程度の合格率ということがあるだけで、詳細はわかりませんでした。そのほかの書籍をさがしましたが、コンピュータ関連の書籍棚には、技術士に関する書籍は皆無でした。一方、個人のコンピュータネットワークは当時はまだインターネットよりも会員制パソコン通信が主流であり、その大手のひとつにNIFTYサーブがありました。そのフォーラムの中に資格関連の情報が集まっていたライセンス資格フォーラム(FLICENSE)があり、そこにはいくつかの情報がありました。

フォーラムには有用な情報があったのですが、情報の中心は受験者数の多い建設部門に偏っており、情報工学にかかわる情報は少ししかありませんでした。この点はインターネットが普及した現時点でもあまり変化はありません。

これらの情報収集を経て、一次試験・二次試験ともに突破するまでに二度ずつ受験する必要がありました。しかし、以下の点で私は成長することができたと考えています。


  • 情報収集力

どこに情報があるかわからない状況で、点在している情報を取りまとめて分析可能とした。

  • 全体を見通す力

不完全な情報から仮説・推論により全体を見通し、自分なりの対策を立てた。

  • 検証/分析力

不合格の結果分析とさらなる対策を立て、論文構成の精度を上げた。


いま振り返ると、この受験までのプロセスも試験のひとつであったかと思います。このプロセスがなければ業績論文で実績を整理する能力も口頭試験で試験官に説明する能力も身につかなかったかと思います。さらに上記のプロセスは明らかに実務者として、必要な能力であります。受験を通じて資格と実務能力を身につけることができました。

当サイトでは情報工学部門を含め、情報量の少ない部門に関する情報源のひとつとなりたいと思います。また、このサイトの情報をヒントにご自身で仮説・検証を繰り返していただくことで、実務者としての能力を磨きつつ、技術士試験に挑戦していただきたいと思います。


技術士仲間を増やしたい

情報工学部門の技術士登録者数は技術士登録者全体の2%程度しかいません。これは業界内で技術士資格がほとんど評価されていないことによると思われます。しかし、そのような資格にもかかわらず挑戦されるかたは、流行に流されるのではなく、技術に対して志を高くしており、ある種の哲学、いわゆる技術者魂を持っていることと思います。このHPを読まれているあなた自身も技術士に興味を持った時点で、その道を歩み始めているといえます。私は情報工学分野における技術士資格は、終身雇用が崩壊し、技術者も差別化・選別化される中で、倫理を含む技術者の社会的役割・意義について資格取得を通じて考えさせ、基盤技術化する情報工学分野では強力な武器になりえると思っています。

また、技術士会活動に参加すると、各部門の技術士と会話できる機会を得ることができます。原子力事故、電車事故、建築偽装などのトピックについてもそれぞれの専門家が卓越した説明能力を用いて私のような専門外の素人に対しても、理解できるように解説していただけます。その技術分野が抱える実情も学ぶこともできます。もちろん、私も情報漏えいなどの社会的トピックの説明を行い、貢献いたします。このような技術分野をまたぐことができるのは、技術士制度以外に存在しないと思うのです。この知的好奇心をくすぐり続ける世界に参加し、また貢献することで成長してほしいと思います。

一方、情報工学部門などの多くの部門は登録者が少ないため、専門性の高い会話をする機会があまりありません。これは建設分科会などの独自活動を活発にできる建設部門などと比較すると大変さびしい状況です。そこで当サイトではこれらの部門の登録者数を増やす支援をすることで、高度な専門的会話ができる環境をつくりたいと思っています。

技術士取得までのコスト(費用/時間)は最小限にしたい

技術士は業界内でマイナーな資格であるため、取得により収入に直結することは稀です。技術士会に参加することで人的ネットワークを構築できることは、コストに換算することができない貴重なものですが、かといって数万円の講座受講を選択することは入口のハードルが高すぎるように思います。これらの実績ある受験講座は、申込書の書き方、論文指導(2~3回)、スクーリングなどパッケージ化されています。パッケージ指導では安心感がありますが、費用が高額になりがちで、講座に頼りきりになり自立した準備ができずに応用力がつかない場合があります。

しかし、技術士を受験する方は一定の実務経験がおありですので、ゼロから指導しなくともある程度の実績ある情報があれば、そこから推論し、ご自身で対策を立てることが可能かと思います。ご自身で研究し、D.I.Yで実践することで、実践的な対策が可能となります。この際に必要な情報量は受験者のレベルによって異なります。すべての分野で情報が必要な方もいれば、サンプルが2~3あれば残りはご自身で見通しを立てて、準備できる方もおられます。そこで試験要素(パーツ)ごとに情報があれば、自由に選択することが可能になります。もちろん、それにかかるコストも選択が可能となるわけです。一方、受験講座を利用しない方法もあります。しかし、建設部門以外のほとんどの部門についてはインターネットや書籍などから入手できる量は、極端に少ないのが現状です。その少ない情報から独自に研究し、誤った方向性のまま進んでしまい、修正に多大な時間を費やしてしまうことが多いかと思います。私が受験したときがまさにその状況でした。私は1回目の受験では、完全独学で実施し、失敗しました。2回目は偶然にも知り合うことができた先輩技術士に論文指導をしていただき、大きく方向転換をした上でようやく合格しました。資格試験には、想定する技術者像がありますので、それに適合していなければ、いくらオリジナリティがあったとしても合格には結びつきにくくなります。やはり適切な実績のある情報を入手したほうがよいと思います。

情報の入手方法は、個々人の時間的・費用的コストの重みづけで選択可能範囲が変わってきますが、現行の少ない選択肢を少しでも増やし、受験者の自由度を増したいと考えています。


最後に

技術士試験は、実務能力そのものを問う試験だと考えています。課題やトラブルが発生した際に、限られた情報、時間、コスト内で解決するためにまず事象を観察してアタリをつけ、小さな仮説と検証を繰り返すことで対象を絞り込んでいく実務そのものと同じです。この実務能力の高さを技術士試験という制度で評価することが本質的意義なのです。

ぜひ、ご自身の状況に合うスタイルを確立し、技術士取得に挑戦してください。



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